高井酒造の巖
山水で人気の地酒「巖(いわお)」を作っている「高井酒造」。
当庵の地元「藤岡市」で、1729年から酒造りを行っている老舗の酒造です。
現在は、若専務の高井幹人さんを中心に、少ない人数で酒造りを行っています。
酒造を訪ねた時も、飾らない出で立ちで迎えてくれた幹人さん。
とても謙虚な優しいお人柄で、酒造りに対する熱い情熱を教えていただきました。
上の写真は、若専務の高井幹人さん。
元々、有名大学を出てから、大手商社で働いていた経歴を持っています。
その後、社長の交代を機に実家へと戻り、経験値0のところから酒造りをスタートさせました。
教えてくれる方も少ない中、さまざまな文献や資料を参考にして
酒蔵の仲間たちの知識を借りながら、来る日も来る日も酒造りの研究をされたそうです。
上の写真は、麹室。種麹(たねこうじ)を加えた米を、この部屋で寝かせ麹(こうじ)を作っていきます。
厳重な温度と湿度管理が必要となるため、最も気をつかう工程です。
上の写真は、醪(もろみ)の仕込みを行っていく樽です。蒸米と水、麹を加えて発酵。
水は、御荷鉾山の東麓に源流を持つ「三波川」からの恵でもある、井戸水を使用しています。
上の写真は、圧搾機。この機械で醪(もろみ)を圧縮し、清酒を絞り出していきます。
この時に残るのが、甘酒の元となる酒粕です。
上の写真は、昔使われていた貯蔵庫。現在では、こんなにも大量の貯蔵は行わないのだそう。
戦後の高度経済成長で、日本酒はとにかく量を作ることが求められていました。
そのため、味・質よりも、より多くを早く作れる製法を取っていたのです。
高井酒造も例外ではありませんでした。
しかし、現代はどうでしょう。成人一人当たりの酒類消費数量は減少し、
お酒の飲み方が昔とは大きく変わっているのです。
専務を中心とした現在の高井酒造は、
量を追うのではなく、味と質そして「哲学」を売る酒造りへと向きを変えました。
「大手の酒蔵さんには、勝てっこありません。安定した美味しい酒を作る天才です。
僕は、そこではなく、10人に1人でも好きになってくれる、唯一無二の酒を作りたいんです。」 という専務。
日本酒は、作る人の性格が出るそうです。
確かに飲んでみると、そんな感じがします。
流行りのすっきりした辛口ではなく、無骨で飾り気のない、昔ながらの男らしい味わい。
それが幹人さんが生み出す「巖(いわお)」です。
肴と合わせると、より味わいが引き立つ、お料理と相性抜群の地酒です。
ぜひ山水の夕食とともに、「巖(いわお)」をお楽しみください。